まりあ様をみてる

モーニング娘。'22の牧野真莉愛さんを眺めるブログ。

君は「GIVE ME 愛」を聴いたか?

 

君はGIVE ME 愛を聴いたか?

さゆが涙声で歌っているあれさ

あの歌は 高…

 

 

 

 

 

明日2月11日に道重さゆみさんの卒業後援を収めたこの作品が発売されます。いわゆるフラゲと言われる前日発売がファンにとっては一般的な光景でありますが、僕個人としては本来であれば当日購入どころか、BSスカパーで放送された映像だけでも十分な気持ちでこの日を迎えている予定でした。

現在の僕の立ち位置である牧野真莉愛さんのファンというポジションとは別で、所謂ずっと推しである高橋愛さん卒業後モーニング娘。への熱量は着実に落ちていたのが正直なところでしたから。

 

 

 

そんな所謂元メンバーの応援をしていたというスタンス・・・ヲタク用語的には「遺族」と呼ばれるようなスタンスでこの3年間を過ごしてきました。その間に、新垣里沙さんが卒業し、光井愛佳さんが同じく去り、田中れいなさんもまた卒業。

 

高橋愛という才能と等しく輝き続けた俗称プラチナ期のメンバーたち。その最後の一人である道重さゆみは、ラストオブモヒカンのごとく、最後の一人として残りながら新しいメンバーと共にモーニング娘。を輝かしてくれました。

モーニング娘パフォーマーとしての地位を余すところなく伝えた伝説となるライバルサバイバルツアーの終わり、つまりはプラチナ期と呼ばれる時期のメンバーすべてを見守り、道重さゆみ卒業後、モーニング娘。の熱いファンとしての立場から去り、天に召されるようにおとなしくひっそりとライトなファンとして過ごしていこうと思っていたのは僕にとって少しもおかしなことではありませんでした。

 

 

勿論、今のメンバーは高橋愛が最後に巡り合った才能である鞘師里保さんをはじめ、9期メンバーが一番上に立っています。

気持ちの中で、高橋愛のマインドが受け継がれた最後のメンバーを見守りたい気持ちが少なからずあったわけですので、結局のところモーニング娘。という物語から離れがたい気持ちもあったのですが、高橋愛卒業と共に涙を武道館に置いてきた僕は、2014年11月26日を笑顔のうちに終わるという確信めいたものをもって横浜の地へ赴きました。

はじめて見た2002年の新春ハロー紺がこの会場だったと感傷に浸りながら東京駅から20分足らずの新幹線乗車にてあの日横浜につきました。

 

 

新人である12期メンバーである牧野真莉愛たちの紹介や生田衣梨奈さんのサブリーダーの発表などありつつ、ステージは素晴らしいの一言。懐かしい「Do it Now!」などもありましたし、「I WISH」の小田さくらさんもすばらしかった。さらに「わがまま気のまま愛のジョーク」をはじめ多くのフォーメーションダンス曲など畳み掛けるように行われる楽曲群は道重モーニング娘。の集大成としてふさわしく、高橋愛を超えるであろう逸材鞘師里保のファーストキスが道重リーダーによって奪われたり、セレモニーとして新はロープロジェクトリーダー矢島舞美さん、文字通りレジェンドである初代リーダー中澤裕子さんとともに登場した同期の田中れいなさんがこの地、横浜アリーナでライバルサバイバルのツアーをやっていることをすっかり忘れていたり、にぎやかなまま淡々と進んでいきます。笑いあり、笑いありななセレモニー。

会場も和やかに爆笑の渦に包まれており、道重さゆみらしさに溢れたセレモニーでした。

 

 

その後、のちに伝説の22分、奇跡の22分…わかりやすく言えば譜久村聖現リーダーによる「フクムラダッシュ」があったメドレーがはじまります。

 

このツアー最初で最後の公演でしたので、僕には進行の具合が良くわかっていなかったのですが、ツアー中3パターンあったメドレーをうまく編集して1つのメドレーとして行うことにしたとのこと。

このことは道重さゆみの口から説明がありました。 

 

22分という時間はこの時点ではもちろん不明でした。しかし、当然長くなる予感がありました。メドレーと言うと多少の出入りがあるとはいえ、長丁場なだけに相当な大仕事となります。同時に道重さゆみの執念のようなものをその言葉から感じていました。

 

GIVE ME MORE LOVE

 

今回のツアーのツアーサブタイトルを最初に聞いたときに僕が真っ先に思ったのは、道重さゆみ高橋愛への強烈な愛情と羨望、情念そして執念を感じたんですね。

モーニング娘。時代も今もですが、高橋愛を誰よりも慕ってくれたのが道重さゆみであると同時に、高橋愛への強い複雑な感情… 僕自身が高橋ヲタを10年続けたからこそ、同じ期間ファンであり続けた彼女が見せた強い自我には戸惑いと同時に感謝もありました。

 

歌手として表現者として優れていた高橋愛。かわいさ、美しさ、そしてバラエティでなどメディア方面で活躍した道重さゆみ

 

しかしながらモーニング娘。の人気の低下と合わせてパフォーマンス重視なモーニング娘。の路線の中で、キャリアの大半を蝉のように日のあたらぬところですごし続けたといってもおかしくなかった道重さゆみがバラエティ方面で脚光を浴びるまでの複雑な感情は筆舌に尽くしがたいわけです。大好きな人がいるそばで大好きな人を中心とした体制が自分の魅力をスポイルしている・・・。

 

そんな感情ではなかったか?というのが高橋在籍時までの道重さゆみへの推測でありました。

 

しかしながら、そんな道重さゆみがバラエティで活躍していたからこそ、日の目を見なかった高橋愛の卒業は少し遅れはしましたが、地上波で長く映りました。

 

いきなり!黄金伝説企画『芸能人節約バトル1ヶ月1万円生活

 

道重さゆみは、この番組でモーニング娘。愛を炸裂させました。おりしも高橋愛の卒業ツアー中。通常より短いツアーではありましたが、大概のメンバーが長いツアーで体重が激減する時期に、彼女はほぼ飲まず食わずの生活で身を賭します。その姿のおかげで高橋愛の卒業の光景もまた映ったわけです。

 

道重さゆみに叶う高橋愛のファンはたぶん少ない、というかいないかもしれません。

僕自身長く高橋愛のファンを していましたが、道重さゆみの足元に及ばない。だいたい、あべこうじさんの次に高橋愛とキスしてるんじゃないかと。

 

道重さゆみは、その高いバラエティ能力、そしてプラチナ期に磨いた表現力などでその後のモーニング娘。を導きました。V字回復といえる5作連続オリコンシングルチャート1位をはじめ、歴代最高のリーダーと誰もが認め、パート割を貰えない自虐ネタはいつしか過去のものとなり、生娘だらけのモーニング娘。の中で大人の女性らしい繊細な表現を極めました。

さらに育て上げた最強の結束を見せた若いメンバーと共に…

このロングメドレーに臨みました。

 

愛してやまなかったあの時代。

亀井絵里さんたちもいたプラチナ期最後の輝き…同じ横浜アリーナで壮絶に散ったライバルサバイバルの最後の公演のセットリストに敢然と挑んだのだと僕は思いました。

 

ライバルサバイバルもまた伝説に残るツアーラストとなりました。

メンバーいずれもがソロ曲を歌うという構成は驚愕でした。個々人の高い能力あってこそでしたし、3人同時卒業という異例の事態とあわせて行う必要性がありましたが、モーニング娘。というグループアイドルのセットリストとして考えると全員ソロというのはやや間延びしていると言えなくもなかったのではないでしょうか。

そこは意見は分かれるでしょうが、2010年のあの素晴らしい公演の唯一のウイークポイントだと僕は薄々は感じていたのですが、他ならぬ当時のメンバーだった道重さゆみがそこを敢えてロングメドレーで勝負をかけたのは、グッときました。

 

そして・・・モーニング娘。の未来を見据えた2014年の武道館に満を持して投入したCパターン。

 

GIVE ME MORE LOVE

 

この曲を軸にしたメドレーになると多くのファンが思ったと思います。

※筆者は日本武道館参加していませんのでもし間違っていたらすみません。

 

残念ながらあの伝説の22分に入ってからの大半を僕だけでなく多くの会場内のファンは演出などと錯誤し、モーニング娘。が重大な危機を迎えていたことを知る由もありませんでした。

ライブビューイングの会場がもっとも早く重大な事実に気づいたと思われます。

事実、あれだけ最前席から5列くらいには誰よりも道重さゆみを知る彼女のファンが陣取りながら、当初は気付かないくらいでしたから、大部分の会場のファンが気付かなかったのは至極当然。

 

とはいえ、さすがに後半には異常な場面が増えてきました。

映像を確認するとラララのピピピのメドレーの繋ぎの前奏では、足を伸ばしたりこちらにお尻を向けています。BSスカパーのLIVE版では顔をしかめていますし、右足を引きずりながら全身します。メンバーの表情が全員ひきつったり、それを隠すために不自然な笑顔となっていたりします。

 

そしてステージ中央で座るさゆ(ラブマのときですね)あたりからは誰の目にもわかる顕著な状態でした。 

 

 

「GIVE ME 愛」

 

 

Give me 愛

Give me 愛

 

 

 

アルバム「12スマート」に入るこの曲は、高橋愛がボーカルを多くとることだけでなく、モーニング娘。として最後の輝きを放つ高橋愛をイメージして書かれたと言っても過言ではなかったかと思われます。

それだけに道重さゆみの情念がこの曲に注がれたと考えるのは、僕が高橋ヲタだからかもしれません。しれませんが、強い思い入れのあるこの曲の最中で思うように動かない足と、道重さゆみが描いたメドレーとの乖離へのやるせなさから、彼女はつっぷし、泣き、悔しさを隠そうと笑顔を作れば作るほど、さらに辛い状態へとなっていきました。その痛々しい姿は、衆人環視の中で哀しい楽曲と共に記憶に焼き付けられました。

しかしながら、その道重さゆみが見せた切なさは、シンパシーを呼び越されました。

高橋愛が残した「GIVE ME 愛」の世界観とは別の意味で、道重さゆみはこの曲を表現しました。失礼を承知で書けば、道重さゆみが絶対に勝てない楽曲表現(たとえば重ピンクは愛ピンクに圧勝しましたが=FCツアー)において、はじめて高橋愛の表現力に勝った瞬間だったと思います。

 

 

賢明にもにもこのDVDには足の不具合の大部分は収録されることはなく、後年、泣いている彼女の背景を知らないファンも出てくるのかもしれません。

 喩えるならば、写真や絵画におけるトリミングの技法。

絵のテーマや本質を損なうことなく、絵の気品を保つ手法。間違いなく、そこに道重さゆみの意思があったと考えられます。

 

高橋愛への強い感情をあらわにした、道重さゆみによる道重さゆみのためのモーニング娘。たちのメドレー。

彼女の情念は成就することはありませんでした。道重さゆみの想い描いたメドレーはできませんでした。

できませんでしたが、彼女が残そうとしたもの、魂は痛いほど伝わり、凍てついた僕の心も、涙腺も3年前のあの日に戻っていました。

流しても流してもとまらない涙。

 

「 熱かった日々を今一度想いださせてくれてサンキュー」そう彼女に伝えたい。

 

フクムラダッシュをはじめとする逸話はその後に知ることとなりました。

道重さゆみの願いはかないませんでしたが、道重さゆみが育てた未来たちは、道重さゆみが思う以上の素晴らしいコンサートを作りました。

 

 

モーニング娘危急存亡の一大事に、あの長い花道を全力疾走した現リーダー譜久村聖。彼女がそのとき思ったことが高橋愛だったらどうしたか?でした。

この人への信頼が絶大なものになったのは僕が高橋愛のファンだからにほかなりませんが、あの日見せたモーニング娘。への強い思いは多くのファンを感嘆せしめました。

道重さゆみを救ったあの疾走はモーニング娘。があり続ける限り、語り草となるでしょう。

引き続きサブリーダーを務める飯窪春菜さんは、あの状態の道重を置いてスタートをきり、あの成功を引き出しました。

何よりも個人としてのスキルが飛躍的にあがっており、未経験だった彼女の努力を誰もが感じたはずです。

新任リーダーの生田衣梨奈はあのとき動揺を隠せなかった反面で、道重への本当の心情を露にしていました。セレモニーとあわせて「何か」を持っている人として活躍しました。

鞘師 里保、小田さくらはダンスや歌唱で文字通りモーニング娘。のセンターにふさわしい高いパフォーマンスを見せ付けてくれました。

鈴木 香音さんや石田亜佑美さんは何よりも、あの緊急事態の中で笑顔を絶やさずにファンを意識したすばらしいパフォーマンスを残してくれました。

佐藤優樹さんは、泣かずにえらい、としかいいようがないぐらいよく耐えてくれました。ステージ裏で泣きはらしていたと風の便りに伺いましたが、ステージの上では笑顔でした。

工藤 遥さんは、あの日の混乱するステージで才能を発揮したと個人的に高く評価しています。あの日の成功を決定付けた要素としてフォーメーションダンスを道重抜きでも成立させたということで、大部分のラインコントロールは工藤がしたんじゃないかと感じました。フクムラダッシュの背景には工藤への絶大な信用もあったことが理由にあげられる気がします。もちろん、工藤だけでなく、9人によるアイコンタクトはもはや神業の域だったわけですが。

 

 

そんな厳しい時間帯を経て、メドレーは終わります。さらに数曲のみに感動的な「BE ALIVE」へとつながるわけです。

兎にも角にもスキル云々ではなく、何よりも多くのファンの記憶から一生消えないくらい強い思い出を僕たちに残してくれました。

 

あの日からまだ二か月半しか経過していませんがずいぶんと懐かしい気持ちにさせられます。道重さゆみはまるで夢だったかのように僕たちの前から姿を消してしまいました。

 

 

 

君はGIVE ME 愛を聴いたか?

さゆが涙声で歌っているあれさ

あの歌は 高橋愛の歌だって

みんな言うけど

 

違う違う それは違う

あれはモーニング娘。の歌じゃないか

よく聴いておくれ

私たちは道重さゆみを愛してるって歌ったのさ

 

 

そんな一日を綴ったDVDが2月11日に発売されます。

 

誰よりもプロであろうとした道重さゆみはメドレーに於いて冒頭の「シルバーの腕時計」を除けば唯一幕間にさがれた「青春コレクション」のさなかに号泣したとのこと。また、最後に僕たちの目の前から消えた直後とあわせて大号泣だったと風の頼りに伺いました。

彼女が残したものはあまりにも大きな痛みを伴いましたが、このDVDやBDには、モーニング娘。の歴史が随所につまっていると言って差し支えないほど、あまりにも美しい物語が詰まっています。

 

 

道重さゆみに僕たちが恩返しをすることはもしかするともうできないのかもしれません。

けれども、道重さゆみの背中を遠くから追い、何度となくモーニング娘。のオーディションを受け続け、研修生として活躍し、愛する道重さゆみさんのように、モーニング娘。にその身を捧げると強く宣する新人が入ってきました。

そして、道重さゆみは、その子…牧野真莉愛を研修生時代から評価し、かわいがっていました。

もうモーニング娘。道重さゆみを応援することは絶対にできませんが、彼女が好きだと言ったその子の成長を今後そっと見守っていきたいな、と思っていたりします。

 それこそが、道重さゆみへの恩返しだと思っています。